未払いの残業代(賃金)請求への対応

1 請求へは適切な対応を
もしも、ある日突然、「残業代が支払われていない」と、(元)従業員が主張してきた場合どのように対応すればよいのか把握できていますでしょうか?
未払いの残業代(賃金)請求は、高額な訴訟にも発展する可能性のある重要な問題の1つで、請求された場合には、使用者側が圧倒的に不利であるということを知っておく必要があります。未払いの残業代や賃金などがあることが発覚すると、労働基準監督署から是正勧告を受けることになります。さらに、その勧告に従わずに放っておくと、法的に罰せられてしまう恐れもあります。
(元)従業員から請求をされたときに、1番してはいけないことは、その請求を無視することです。請求を無視してしまうことで、労働基準監督署へ連絡され、立ち入り調査を行われたり、労働審判を申し立てられたりすることがあるからです。ただし、無視をしてはいけないからといって、従業員の主張を鵜呑みにしてはいけません。なぜなら、主張の中には、『計算に誤りがある』『禁止していた残業分について請求している』などの本来、こちらが支払う必要のない分まで含まれている場合があるからです。ですので、(元)従業員からの請求や労働基準監督署からの勧告をされたときには、事実関係を整理し、然るべき対応を取る必要があります。
弁護士に依頼していただければ、(元)従業員からの請求や労働基準監督署からの勧告があったときに、請求金額の再計算や管理職(管理監督者)にあたるかどうかの確認、ヒヤリングなどを行い、使用者側の代理人として適切な反論・交渉をいたします。
2 未払い残業代請求とは
未払い残業代請求とは、従業員または元従業員が、法律上支払われるべき残業代(時間外労働や休日労働に対する割増賃金)が支払われていないとして、企業に対して支払いを求める行為です。労働基準法では、法定労働時間(原則として1日8時間、週40時間)を超えて労働させた場合、企業は割増賃金を支払う義務があります。しかし、残業代の計算方法や管理職(管理監督者)の範囲などについての誤解や認識の違いから、「残業」の運用に問題があると、後日トラブルになることがあります。また、残業代請求権の消滅時効は、改正民法により2020年4月から「5年」(コラム執筆時点では経過措置として「3年」)に延長されたため、過去に遡って多額の支払いを求められるリスクも高まっています。このように、未払い残業代請求は企業経営に大きな影響を与える可能性のある重要な問題なのです。
3 未払い残業代請求をされた場合の対応方法と注意点
未払い残業代の請求を受けた場合、まず冷静に事実関係を確認することが重要です。タイムカードやICカード記録などの客観的な記録と、実際の賃金支払い状況を照らし合わせて、本当に未払いがあるのかを調査しましょう。そして、請求内容に根拠があると判断した場合は、速やかに支払いに応じることが賢明です。なぜなら、未払い賃金があると認められた場合、裁判所は未払い額に対して遅延損害金の支払いを命じる可能性があるからです。特に退職後の未払い賃金については年14.6%(賃金支払確保法第6条・同施行令第1条)という高い利率が適用されるため、長期間放置すればするほど企業の負担は大きくなります。在職中の従業員に対する未払い賃金の遅延損害金も年3%(民法第404条)と決して低くはないため、早期解決が企業にとって経済的にも有利となるのです。
一方で、請求に根拠がないと判断した場合は、きちんと反論する必要があります。ただし、専門知識なしに自社だけで対応すると、誤った解釈や不適切な対応によって、問題が長期化・複雑化するリスクがあります。したがって、請求を受けたら早い段階で労働法に詳しい弁護士や社会保険労務士に相談することをおすすめします。
4 弁護士との顧問契約で未然に防ぐ
「請求されたことも無いし、弁護士に依頼しなくてもいいだろう」「請求されてから弁護士に相談すればいい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、いざ問題が発生してから弁護士を探し、依頼するのは大変で、たとえ依頼できたとしても、ゼロからこれまでの状況を説明しなければなりません。弁護士と顧問契約を締結していれば、いつでも相談できて、会社の状況を把握している弁護士がいるという安心とトラブルを未然に防ぐための就業規則の整備や職場環境の改善に関して、法的な見地からの適切なアドバイスが得られます。
残念ながら多くの中小企業では、労働環境が十分に整備されているとは言い難い状況です。当事務所では、(元)従業員からの未払い残業代(賃金)の請求対応だけでなく、労務コンプライアンス体制構築支援プランをご用意しています。この機会に労働環境の整備についての見直しについてもご検討ください。
5 残業代請求対応に関して弁護士に相談するメリット
残業代請求対応において弁護士に相談するメリットは多岐にわたります。まず、労働法は複雑で専門性が高く、法律の専門家でなければ適切な対応が難しい分野です。弁護士は法律の専門家として、請求の妥当性を客観的に判断し、法的リスクを最小限に抑える戦略を立てることができます。そのため、不必要な支払いを避けつつ、必要な場合は適切な金額で和解に導くなど、企業にとって最善の解決策を見出すことが可能となります。
また、弁護士は企業の代理人として(元)従業員や労働基準監督署との交渉を担当することができます。これにより、経営者は感情的になりがちな直接交渉から解放され、本来の経営業務に集中することができるのです。さらに、単に目の前のトラブル解決だけでなく、将来的なリスク回避のためのアドバイスも提供します。適切な労働時間管理方法や就業規則の整備、36協定の締結など、法令遵守のための実践的なサポートなど多岐に渡って対応します。
特に顧問契約を結んでおくことで、トラブル発生時だけでなく、日常的な労務相談も可能になり、問題の芽を早期に摘むことができます。これは結果的に訴訟リスクの低減や企業イメージの保持につながり、長期的な企業価値の向上に寄与するのです。つまり、弁護士への相談費用は単なるコストではなく、企業を守るための重要な投資と考えることができます。
6 残業代請求対応でお困りでしたら当事務所までご相談ください
当事務所では初回相談料を無料とさせていただいていますので、「残業代や未払い賃金を請求されている」「顧問弁護士について検討中」など、少しでも顧問弁護士にご興味がおありでしたら、まずはお気軽にご相談・ご予約ください。電話・メール・Chatworkにてご予約を受け付けております。